面とむかって人を誉めたがるやつは、また影にまわると悪口をいいたがる。
聖人なる者は天地の美に基づきて万物の理に達する。
自分の愚かさを知っている者は、大愚ではない。また、自分の心の惑いを分かっている者も、大惑とは違う。大愚なる者は、自身の愚かさに気付かず、大惑なる者は、自身が惑っていることにさえ気付かない。
いかなる人も夢を見ている限り、それが夢であることに気づかない。
駿馬は一日に千里走ることができるが、鼠を捕まえることでは猫にはかなわない。
窮するもまた楽しみ、通ずるもまた楽しむ。楽しむ所は窮通に非ざるなり。
道は小成に隠れ、言は栄華に隠る。
井の中の蛙、大海を知らず
君子の交わりは淡きこと水のごとし、小人の交わりは甘きこと醴のごとし。
力が足りない者が、物事を偽り、知識の足りない者が、他人を欺く。そして、財の足りない者が、盗みをはたらく。
過ぎ去ったことは、くよくよと悩んだりしないこと。先のことをあれこれ考えて、取り越し苦労をしないこと。事が来ればそれに応じて、最善を尽くして臨むこと。その結果を淡々と受け止め、心に留めないこと。
死を視ること生のごとし
人の適を適として、自ら其適を適とせざる者なり。
徳をもって人に分かつ、これを聖という。財をもって人に分かつ、これを賢という。
人間がこの地上に立つために必要なのは足をおく余地だけだが、その余地以外をぜんぶ奈落にまでつづく空間にしてしまったら、地面としての役に立つだろうか。立たないではないか。無用がじつは用の足しになる。
自然には差別はなく、命は等しい。
人は皆、有用の用を知るも、無用の用を知らず。
功を以て人に勝つことなかれ。謀を以て人に勝つことなかれ。戦を以て人に勝つことなかれ。
犬はよく吠ゆるを以って良とせず、人はよく話すを以って賢とせず。
至楽は楽しみなく、至誉は誉れなし。
命長ければ、恥多し。